猫をひいた

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猫をひいた、まさか!?

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猫をひいた

 夜、住宅街の細い路地を車で走っているときに、
 今まで車を運転していて聞いたことがないガガガガガー!というすごい音。
 音だけで衝撃がなかったので灯油缶でも巻き込んだかとそのまま走り過ぎたものの、
 妙な違和感が拭えずひき返す。

 するとヘッドライトの灯りの向こうに懸命に体を起こそうとしている三毛猫の姿が。
 「猫をひいたんだ!」

 そのときの恐怖とショックは言葉では言い表せない。
 手足がぶるぶる震え涙がこみあげ一瞬パニック状態になり、
 ぐちゃぐちゃに傷ついた猫を想像して恐くて車を停車させることができなかった。

 あの猫は生きていた。
 必死に体を起こそうとしていた。
 戻って助けなれば、また、別の車にひかれてしまうかもしれない。
 頭ではわかるのに足がすくんで動けない。

 近くに住む動物病院の看護師をしている友人に来てもらい、
 ようやくそこに戻ったのはひいたとわかってから30分は過ぎた頃。
 だが、そこに猫の姿はなく、血痕すら見当たらない。

 見間違いじゃなかったかともいわれたが、
 ヘッドライトの灯りに浮かんだ体を起こそうとする猫の姿が脳裏から離れない。
 猫はひかれても数メートルは移動することができるらしい。

 近隣の家に三毛猫を飼っていないか尋ねてまわると
 アパートに住む女性が外飼いしている三毛猫がいるといい、一緒に近くを探してくれた。
 その女性が名前を呼んだときにかすかに聞こえた「ミャー」という鳴き声。
 「やっぱりいる!」

 鳴き声のした方を探すと草むらの中に子猫が横たわっていた。
 外傷はほとんどなかったがショック状態で瀕死に見えた。
 友人の指示で体を冷やさないようにタオルでくるみ、急いで彼女が勤める動物病院へ。

 夜中12時近くだったが3人の獣医がかけつけてくれていた。
 猫は肺挫傷で心臓にも血がたまっていた。
 普通は心臓に注射して血を抜くそうだが、子猫だったため体力的に難しいと言われ、
 その猫の生命力にかけるしかないと告げられた。

 わたしはこの猫を傷つけてしまった自分の不甲斐なさとショックでただ涙にくれた。
 どうか助かってほしい、それだけを必死で祈りながら。

 次の日、病院に行くと、小さな酸素室にはいったその猫は、か細い息をしながら横たわっていた。
 「ゴメンね、本当にゴメンね」謝ることしかできなかった。

 その次の日、飼い主の女性と一緒に病院へ行った。
 子猫は、女性をみると、ふらふらと立ち上がり女性のそばに近づいてきて、
 しぼり出すような声で1度だけ鳴いた。
 女性は言った。この子の断末魔の声に聞こえたと…。



元気になったここも

 これが、そのときの猫、ここも。
 ここもはたくましい生命力で生きてくれた。
 「もう、大丈夫!」獣医の言葉に胸が詰まった。
 「よかった、本当によかった。」

 2週間の入院生活を終えた後、
 ここもが同じ目にあわないように飼っていた女性にお願いしてここもをひきとることに。

 今は、助けてくれた看護師の友人の家で内飼い猫として幸せに暮らしている。
 時々、遊びに行くが、わたしを見ていつも逃げる。
 やっぱり覚えているのかなわたしにひかれたこと。


 そして、ある時、友人が勤める動物病院に、
 若い女性が上半身ブラジャー一枚の姿で犬を抱えて飛び込んできた。
 その犬は彼女がひいた犬で彼女のブラウスで全身をくるまれていたそうだ。
 
 犬はとても助かる状態ではなかった。
 彼女は必死だった。ただその犬を助けたい一心で自分の身なりも気にせずに。
 わたしはその女性の行動に頭が下がった。

 ここもをひいたときのわたしの行動は立派ではなかった。
 今でもあのときの行動を思い出すと恥ずかしい。
 自分の弱さが垣間見えた。
 ただここもが生きてくれたことが唯一の救い。

ここもとちゅっくん あっちむいてホイ けちゃっぷ登場ベロでてるよ
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